こつこつ測り隊の日記

市民放射線測定グループ こつこつ測り隊のブログです。

JR勝田車両センター周辺測定・その2(内後公園 空間線量・土壌放射能)

 

こんにちは。市民放射線測定グループ「こつこつ測り隊」です。2021年度は、茨城県ひたちなか市・JR勝田車両センターの西側に位置する「内後公園」空間線量の測定と、公園内の土壌の放射能測定を行いましたので、報告です!

 

内後公園・空間線量測定

(測定日2021年12月20日

公園全体をざっとシンチレーションカウンターで確認しましたが、突出して高い値は見つからず(0.04~0.07μ㏜/h)、こつこつ測り隊恒例の3点(3㎝・50㎝・100㎝)×3機種(アロカシンチレーション・堀場Radi・テクノエーピーTC100)での測定を行ったのは、5か所。場所の選定は、人が長時間とどまる可能性がある「ベンチ」と「遊具(ブランコ・すべり台)と烏賀陽弘道氏のnoteにて「0.26μ㏜/h」が測定されたと思われる場所(地図中の①)です。

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内後公園 測定マップ

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内後公園 空間線量率


■測定結果

 測定数値をご覧いただいて分かる通り、公園内(②~⑤)はおおむね0.04~0.07μ㏜/h。国の除染基準が100㎝の高さで0.23μ㏜/h。福島原発事故前のひたちなか市近郊の空間線量が0.02~0.06μ㏜/hと言われていることから、特に線量が高いとは言えません。

 ②~⑤に比べると①の場所は、0.06~0.08μ㏜/h。JR勝田車両センターの西側にある公園のさらに西側のアスファルトで舗装された道路です。アスファルト上で測定し、3㎝:0.08μ㏜/h>50㎝:0.07μ㏜/h>100㎝:0.06μ㏜/h。道路わきの側溝も測ってみましたが、0.07μ㏜/h。公園内よりは高いですが、誤差の範囲とも言えるくらいの差です。

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①の西側 側溝



内後公園・土壌㏃調査

(土壌採取日:2022年1月31日)

 これまで、こつこつ測り隊では空間線量を測定してきましたが、空間線量と土壌の放射能の関係を調べたことは、あまりありませんでした。しかし今回、烏賀陽弘道氏のnoteにて、氏がつくば市放射能測定所に公園の土壌測定を依頼しておられたので、比較のため同じように測定してみることにしました。測定用の土壌を採取するにあたって、ひたちなか市役所公園緑地課に公園の使用許可をいただきました。

つくば市民測定所つくば市民放射能測定所 HOME (fc2.com)

つくば市民放射能測定所 コース・料金 (fc2.com)

1か所につき約1㎏の土壌を採取し、測定所推奨の1時間コースで測定。

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②公園西側ベンチ脇

 

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③ブランコ脇

 

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④東側ベンチ脇

 

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⑤すべり台脇

①はアスファルトの路上なので除きました。公園内の4か所(地点②~⑤)の測定結果です。この4地点から採取した土壌㏃調査結果の数値を並べてみます。セシウム合計の右に12月に測定した同じ場所の空間線量を付けました。参考として最下段に烏賀陽氏採取の土壌(測定時間64800秒)の結果も並べてみました。公園内のどこなのか詳細が不明なので、空間線量は空欄にしてあります。

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内後公園内 土壌と空間線量比較

4か所とも砂が多く、放射性物質が吸着しにくい土質。芝などの草や根は取り除きました。どこもそれほど高い値は出ず、④東側のベンチ脇は少し高め(318㏃/㎏)でした。しかし、同じ場所の空間線量はほかの地点より高いわけではなく、空間線量に影響が出るほどでは無い値のようです。

■今回の土壌㏃調査結果について

つくば市放射能測定所の藤田さんよりコメントをいただきました。

 「内後公園の汚染は、2011年の事故直後の汚染だけで説明できるレベル。また、このくらいの数値は、残念ながらひたちなか市では特別高い汚染ではないです。」とのことで、2019年に測定されたこちらの数値を教えていただきました。

https://www.kankyo-hoshano.go.jp

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また、烏賀陽氏noteでの内後公園放射能汚染の指摘についてもご意見をいただきました。

烏賀陽氏の推論 

放射性物質を含んだ汚水が地下に染み込み、地下水として移動したあと、公園の樹木に吸い上げられ、落ち葉や枯れ枝として地表に落ちた。

②車両に付着した放射性物質のチリが風で公園に飛んだ。

放射性物質を含んだ洗浄台の汚水が風で飛んだ。

上記3点の推論について、つくば市放射能測定所・藤田さんからの指摘

 「洗車場の汚染水が公園まで達していて、その影響が数値に現れているとは思えません。洗車場の汚染水が日常的に大量に道路を超えて公園まで流出しているならまだしも、いったん地面に浸みた汚染水が道路の下を通過して公園の土壌を汚染するというのは考えにくいです。また、すでに上で指摘しましたが、そもそも、烏賀陽さんがその高さに驚いて、何か特別な汚染源(福島の高汚染地から電車が運んできて洗車によって拡散した放射性物質)によってしか説明がつかないと思った500Bq/kg程度の汚染は、残念ながらひたちなか市では特別高い汚染ではない。また、洗車場のコケの汚染も高い数値ではなかった。道端にはもっと桁違いに高い汚染を示すコケはいくらでもあるでしょう。洗車場の汚染水が周りに影響を与えるほど高いとすれば、洗車場のコケは数十、数百ベクレル/kgよりもっと高い値になるのではないでしょうか。」

 この藤田さんの指摘は、記事公開前の時点で烏賀陽氏とのやり取りの中でもされたそうなので、烏賀陽氏はご存じの上で、あえてあの記事を書かれたようです。

 

また、藤田さんからは、こつこつ測り隊の活動に対しても、以下のようなアドバイスをいただきました。

「洗車場の汚染水が周囲に影響を全く与えていないとも言えません。その点を踏まえて、もしさらに調査するなら、洗車場と公園を隔てている道路に沿って数百メートルくらい空間線量率の変化を細かく調べるとよいと思います。烏賀陽さんも特定の線上で線量が高いと指摘していたかと思います。それをまずは検証してみては。」

ありがとうございます!参考にさせていただきます。

 

 

■こつこつ測り隊の見解

1⃣内後公園の空間線量は、ひたちなか市内の中でも低い方にあたる数値であり、子どもを遊ばせても問題ないと思われる。

2⃣内後公園東側のベンチ脇の土壌㏃は、その他の測定ポイントよりは高かったが、これがJR勝田車両センターの洗車台や、車両に付着した放射性物質に由来するものなのか、2011年の事故直後に飛来したものなのかは不明。

3⃣公園西側のアスファルト面の線量が少し高いことを考えると、2011年の事故で飛来した放射性物質が残っている可能性の方が高いのではないか。(公園内は、定期的な清掃と、砂地のためにセシウムがとどまらずに雨などで流されてしまい、路上アスファルト面は、表面の凹部分にセシウムがとどまっている可能性。)

4⃣洗車台やJR勝田車両センターの敷地には、比較的大きな側溝があり、洗車後の水が大量に敷地外に流れる構造にはなっていない。可能性があるとすれば、洗車中の飛沫が風に乗って公園に流れてくるくらいと思われる。が、その場合もかなり大量の放射性物質が積もっていないと、公園の空間線量は目に見えて高くはならない。

5⃣以上4点から、2021年12月の時点では、JR勝田車両センターで洗車される常磐線車両付着の放射性物質が原因で、ひたちなか市「内後公園」の空間線量及び土壌㏃が上昇しているとは言えない。

 これはしかし、今後の放射線量の上昇がない事を保証するものではなく、継続的に測定を続ける意義はあると思われる。また、こつこつ測り隊がこれまで行ってこなかった「空間線量」と「土壌㏃」の関連についても調査の必要がある。

 

以上、ご報告でした!

 

ご協力御礼

「生活クラブ茨城」いつも測定器貸していただいてます!

つくば市放射能測定所」コメントも添えていただき感謝です!

ひたちなか市」測定器の貸し出しと、公園使用料減免措置、感謝です!

 

私たち「こつこつ測り隊」は、生活クラブ茨城の「地域くらぶ」というしくみにグループ登録しており、今回の土壌測定にかかった費用は、地域くらぶの活動費から支出しました。市民活動というのは、基本的にすべて持ち出しなので、とても助かりました。

 

2022年度も引き続き、JR勝田車両センター周辺の測定は行っていこうと思います。

水戸・ひたちなか東海村周辺で気になるポイントなどありましたら、ご連絡ください。測定に伺いますよ!一緒に測定してみたい方も、大歓迎です(^▽^)/

 

JR勝田車両センター周辺測定・その1 は、こちら ↓

kotsukotsu-blog.hateblo.jp